不妊治療用語解説

移植するなら凍結胚?新鮮胚移植との比較と、それぞれのメリット、デメリット考察

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体外受精の治療をしている方へ。

受精卵を子宮へ移植するとき、凍結胚移植がいいのか、それとも新鮮胚移植がいいのか、悩みますよね。

多くの病院で凍結胚移植の妊娠率が高いというデータを元にして、凍結胚移植を勧められることが多くなりました。

しかし実際のところはどうなのでしょうか?

今回は、凍結胚移植と、新鮮胚移植のデータを比較して、それぞれの方法のメリット、デメリットを解説します。

1. 新鮮胚移植と凍結胚移植

1-1. そもそも新鮮胚移植とは?

ここでは新鮮胚移植という用語について解説します。

新鮮胚移植とは、採卵してきて受精させた胚を、その周期でそのまま子宮に戻す方法のことです。

詳しく解説しますと、まず、体外受精では排卵誘発剤等で刺激して卵胞を育てます。(何も使用しないクリニックもあります)

そして、卵胞が成熟したら採卵し、体外で精子と受精させます。

精子が少ない場合は顕微授精となります。(顕微鏡下で精子を卵子に直接注入する方法)

受精した卵子を培養し、4-8細胞期の初期胚と呼ばれる状態、あるいは胚盤胞まで培養します。

新鮮胚移植では、このように培養した胚をそのまま子宮に戻し、妊娠させます。

 

1-2. 凍結胚移植とは?

凍結胚移植では、上記の培養した胚を凍結します。

そして、採卵した周期とは違う時期に、子宮内の環境が良いときに、凍結しておいた胚を融解(つまり解凍する)して子宮に移植します。

2. 新鮮胚移植 vs 凍結胚移植

ここでは新鮮胚移植と凍結胚移植について、比較していきます。

2-1. 新鮮胚移植のメリット、デメリット

・メリット:本来あるべき体内により早く戻してあげられる。

本来であれば卵管を通っている最中に育つ受精卵を、培養液で育てているため、いくつかの受精卵は培養液では育たない場合があります。

受精卵を育てる際に使用している培養液は、卵管内の環境に似せて作られてはいますが、完璧に卵管内と同じ環境とまではいきません。

そこで、初期胚(4-8細胞期胚)のうちに、これ以上培養液で育てるのをやめて、早い段階で体内に戻してあげることができます。

 

・デメリットその①:移植する時点で女性側の体調が整っていない場合がある。

採卵した周期では、採卵による出血、腹痛、発熱、感染症などの合併症が起こっている場合があります。

また、採卵前に使用した排卵誘発剤の影響などで、子宮内が着床に適切でない環境になっています。

 

・デメリットその②:卵巣過剰刺激症候群が悪化するリスクがある。
卵巣過剰刺激症候群についての詳しい解説はこちら!

排卵誘発剤によって卵巣が刺激された状態のまま、妊娠すると、卵巣過剰刺激症候群が悪化する可能性が高いです。

卵巣過剰刺激症候群が悪化すると、大きく膨らんだ卵巣が捻転したり、血栓症ができたり、腹水や胸水がたまったりします。

卵巣過剰刺激症候群が重症化すると命の危険もあるため、卵巣過剰刺激症候群の悪化する危険性があるときは胚移植ができない場合があります。

 

2-2. 凍結胚移植のメリット、デメリット

メリットその①:凍結胚移植の方が妊娠率が高い。

海外での論文や日本のデータとして、新鮮胚の妊娠率20-25%に対して、凍結胚の妊娠率30-35%と、凍結胚の方が約5-10%妊娠率が高いことがわかっています。

これは、新鮮胚移植では、排卵誘発剤の使用によって子宮内環境が整っていない状況で子宮に胚を移植することが不利に働いていると考えられます。

また、そもそも凍結に耐えうるほどの質の良い胚だけが凍結胚として保存できるため、新鮮胚移植よりも凍結胚の方が全体的に質が良い胚が移植されている可能性もあります。

メリットその②:移植する時期を決められる。

一旦、胚を凍結してしまえば、半永久的に保存できるため、最も子宮内環境が整っている時期に胚を移植することができます。

 

デメリットその①:受精卵を凍結することによる胚へのダメージ。

以前までは5%ほどの受精卵に障害が生じていたとされていますが、現在の手法(ガラス化法)では、99%以上の生存率となっています。

そのため、凍結による受精卵へのダメージはごくわずかと考えても良いのではないかと考えます。

 

デメリットその②:費用がかかる。

新鮮胚移植と比べると、凍結胚移植では、受精卵を凍結する費用、凍結した卵を保存する費用、凍結した卵を元に戻す費用(融解)、が必要となります。

目安としては、凍結に3-5万円、融解に3-5万円ほどかかり、新鮮胚移植と比べると約6-10万円ほどの費用が加算されます。

 

2-3. 新鮮胚移植と凍結胚移植の比較

それでは、上記を踏まえて新鮮胚移植と凍結胚移植を表で比較してみましょう。

新鮮胚移植 凍結胚移植
妊娠率 20-25% 30-35%
OHSS発症リスク 高い 低い
受精卵への障害 なし ほぼなし
子宮内環境 悪い 良い
費用 凍結胚の方が6-10万円前後高い

まとめ

現時点では凍結胚移植の方が妊娠率が高く、凍結胚移植が推奨されます。

しかし、「凍結に耐えうるほどの質の良い胚だけが凍結胚として保存できるため、新鮮胚移植よりも凍結胚の方が全体的に質が良い胚が移植されている」可能性を踏まえて、凍結胚移植で結果が出ない場合には、新鮮胚移植にチャレンジすることもありだとは考えます。

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